山口県阿武町が誤って1人の住民に4630万円を振り込んだ問題
金をネットカジノに使ったとされる男の裁判、判決のポイントはどういったところにあるのでしょうか
福満まい記者
「田口翔被告の行為が電子計算機使用詐欺の罪に当たるかどうかです」
まず、田口被告が問われている「電子計算機使用詐欺」という罪。
この罪が成立するためには、
①コンピューターに「虚偽の情報」=うその情報などを与えて、
②財産上不法の利益を得たという2つの要件を満たす必要があります。
今回の裁判で、田口被告は金を送金してネットカジノに使ったという事実関係は認めているのですが、この条件を満たすかどうか、双方の主張が違います。
まず検察側は
田口被告が使った4630万円は誤った振り込みで、本来は返さないといけません。
田口被告にはそのことを銀行に伝える「信義則上の告知義務」があったのに、伝えなかった違反があるとします。
なので、金を振り込む正当な権限はなかったのに、正当な権限があるよう装って送金したことは、コンピュータにうその情報を与えることになるとして、犯罪が成立すると主張しています。
一方の弁護側
田口被告はネットバンキングで送金したのですが、そこに入力した情報口座情報やパスワードなど全て正しいもので、うその情報は入れていないとしています。
また、ネット上で誤振り込みだと銀行に伝えることはできず、この時点で銀行は誤振り込みがあったことを知っていたため、告知義務があったとは言えないと主張しています。
このように、「虚偽の情報」=うその情報などを巡って主張が対立しています。
そこを裁判官がどう判断するかが着目ポイントです。
さらに、「電子計算機使用詐欺罪」は先例となる最高裁の判例がないので、この判決に司法関係者は注目しています。
田口被告の弁護士は「電子計算機使用詐欺が適用される限り、罪の成立を争い続けたい」としていて、有罪判決が出た場合は、控訴する方針といいます。
田口被告は判決を前に「どのような判決になっても、仕事をさせていただいていることに感謝しながら、Twitterで日々の報告をすることを続けていきたい」とコメントしています。
この裁判は2月28日に判決が言い渡されます。
詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tys/350613
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