皆さんは「DDoS」という言葉を聞いたことがありますか?メディアでもたまに目にする4文字のアルファベット。これはDistributed Denial of Serviceの略称で、お気に入りのビデオゲーをしていたり、ウェブサイトを閲覧している時に、大量のアクセスを故意に行い強制的にオフラインにしてしまうサイバー攻撃のことを指します。
オンラインゲームが世界的にブームとなり、一つのゲームに大人数が集中する土台が出来上がってしまっています。その状況を狙ったのがDDoSです。この記事ではDDoS攻撃や悪意あるハッキング予防に役立つVPNの機能を中心に、ゲーマーの身を守る方法をご紹介します。
Webアプリケーション・ファイアーウォールの搭載
ネット関連のセキュリティツールはいくつかありますが、DDoS攻撃といった不審なアクセスによる攻撃に関しては、Webアプリケーション・ファイアーウォールが効果的だと言われています。
このWebアプリケーション・ファイアーウォール(略してWAF)は、課金や入出金など金銭のやりとりが発生するEウオレットやオンラインショッピングサイトで導入されているセキュリティシステムの一つです。
WAFはサーバーに設置されるもので、ネット上の通信内容を分析し(通信のシグネチャを検査)、ハッキングやDDoS攻撃といったサイバーアタックを遮断することができます。とくに、WAFはWebアプリの防御に対して威力を発揮するので、不審なアクセスを未然に防ぐことができるのがメリットです。大量データが送られてきた際に、瞬時に情報を解析し、オンラインゲームへの侵入を防ぐことができれば、DDoS攻撃から身を守ることができます。
コンテンツデリバリーネットワークの採用
もうひとつ、DDoS攻撃に効果的な対策として、コンテンツデリバリーネットワーク(略してCDN)があります。もともとCDNはYoutubeをはじめとする動画配信、ポッドキャスト、ネットフリックスやアマゾンプライムといった映画配信などキャパシティの大きいコンテンツに対して使われるもので、効率よくスムーズに配信するために設置されます。
ご想像の通り、こういったビッグサイズのコンテンツはアクセスが集中しがちであるため、表示やダウンロードに時間がかかってしまいます。そこで全てのユーザー体験をより良くするために、ネット渋滞を解消すべく活用されているのがCDNです。
そもそもDDoS攻撃で問題となっているのは「大量アクセス」を利用したサイバーアタックです。ユーザーがごった返す混雑した状況を緩和し、スムーズなネットフローを実現してくれるのがCDNなので、DDoS攻撃のターゲットにもなりにくいということになります。
実際、米国の大学が出した研究結果では、オンラインゲームがハッカーの標的になる被害はプレイヤー5人に1人という報告がなされています。具体的にはプレイヤーが貯めたゲーム内通貨を盗み出したり、個人のマイクロトランザクションに侵入するというものですが、ゲーマーにとっては迷惑極まりない行為であり、ゲームメーカーとしても信頼性に関わる重大な問題です。
VPNでプライベートトンネルを構築しておく
前述でご紹介したWAFとCDNの2つのDDoS攻撃ツールに加え、利用するネットワークそのものを第三者から盗み見されないように、プライベートトンネル技術を搭載したVPNを搭載しておくとよいでしょう。VPNは個人情報や金融情報、ログイン情報といった大切な項目を守るためにセキュリティ・インフラとして広く活用されています。情報を即時に暗号化してくれるので、外部からの読み取りが不可能のなるのがメリットです。
DDoS攻撃に限らず、その他、フィッシング詐欺などの被害も増えています。VPN機能はネットワークの安全性を高め、セキュリティの度合いをマックスに設定するためにも、合わせて検討したいツールです。
まとめ
オンラインゲームで大量被害が出る可能性があるDDoSは、個人ユーザーを狙った悪質な詐欺行為ですが、企業単位では大手航空会社のマイレージが漏洩したり、自動車メーカーの生産工程が狂ったりと、社会的なダメージを狙ったネット被害も報告されています。
DDoS攻撃で厄介なのは、たとえ問題のない大量のデータを送ったとしても結局は攻撃になってしまうため、正常な通信なのか、DDoS攻撃を目的としたアタックなのかの見分けがつきにくいことです。さらに、ネットワーク自体が大量の情報トランザクションで詰まりを生じてしまうと、アクセスすらできなくなってしまうため、サーバー対象のみの対策だけでは防ぐことができないことも問題だと言えます。こういった状況を踏まえれば、通信上のプライベートトンネルをVPNで構築した上で、WAFやCDNの設置が効果的です。
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