山口県阿武町から誤って振り込まれた4630万円を、オンラインカジノの決済代行業者の口座に振り込み不法に利益を得たとされる男に、山口地裁(小松本卓裁判官)は28日、懲役3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。この裁判を巡っては、田口被告の行った行為が電子計算機使用詐欺の罪にあたるかどうかが争点になっていて、弁護側は無罪を主張し、検察側は懲役4年6か月を求刑していました。田口被告の弁護人によりますと、判決を不服として即日控訴しました。判決によりますと、田口被告は去年4月、町から振り込まれた4630万円を誤ったものと知りながら、オンラインカジノの決済代行業者の口座に振り替え、不法に利益を得るなどしました。判決で小松本卓裁判官は、田口被告には誤った振り込みであることを銀行に告知する義務があるが、それに違反していて、正当な権利行使ではないとしました。また、被害額が多額で、オンラインカジノで遊ぶための犯行に酌むべき点は一切ない。阿武町職員の働きかけにも応じることなく、法規範を軽視する態度もみえて実刑に処すべき事案 と指摘しました。一方で全額が阿武町に補填されていて、被告も反省のことばを述べているなどとして、懲役3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。田口被告は、ほとんど動かず前を向いて判決を聞いていました。田口被告の弁護人は会見で、控訴について「本来の形ではない法律の適用を是正したい」と述べました。山田大介弁護士
「たとえ執行猶予つき判決だったとはいえ、有罪の判決が出てしまったので、その点については私の力の至らない点があった。本人に申し訳ないと感じておりますし、今後も戦っていこうと思います」執行猶予のついた判決について、田口被告と社会との関係を取り戻すことにつながるとした上で、控訴審で争う姿勢を見せました。
判決については、争点となっていた「虚偽の情報」について明確な判断がなかったとし、銀行へ告知する義務については拡大解釈されたことから、高裁で議論を深めるべきだとしました。山田弁護士
「大前提として、彼が今回道徳的に誤った行為をしたことについては本人に反省してもらっています。本来法が予定していない適用のしかたがされているので、こういうおかしなことがあちこちで発生しています。この状態を是正しないといけない」山田弁護士は、田口被告の行為に電子計算機使用詐欺の罪が適用される限り、罪の成立について争い続ける必要があるとしました。
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