【解説】「カジノで全額使った」はホント?容疑者の量刑に影響は?

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山口・阿武町による4630万円の振り込みミス問題で、阿武町長が24日記者会見で「約4300万円を法的に確保した」と説明しました。「どうやって金を確保?」「カジノで全額は本当?」「田口容疑者の量刑は?」の3つのポイントについて解説します。
■約4300万円「法的に確保」 これまでの経緯を振り返る
阿武町の花田町長は24日午前、会見で町長は「阿武町の口座に約4300万円が入った」と公表しました。

阿武町 花田憲彦町長
「公金の誤振り込みについては、4月8日から法的手続きをとってまいりました。こうした中、本日現在、合計で4299万3434円を法的に確保することができましたので」

「法的に確保」とは、どういうことでしょうか。まず、経緯から振り返ります。

山口・阿武町が誤って振り込んだ4630万円について、田口翔容疑者は「海外のカジノサイトですべて使った」と話し、弁護士に対しても「オンラインカジノ内にも金が残っていない」と話していたということです。

田口容疑者の弁護士も返済能力について、「本人に財産的価値のある資産現状なし」、「現実的な(返済)プランを立てられる状況にない」と話していました。

■大部分の4300万円ほどを確保
田口容疑者は、このお金を決済代行業者などに送り、「ネットカジノで使用した」と説明しています。

振り込まれた金額は、A社に27回に分け約3600万円、L社に300万円、M社に400万円とされています。

20日、この3つの決済代行会社から約4290万円の入金があったということです。さらに、田口容疑者の口座に7万円ほど残っていたため、合わせて4299万3434円を確保できたということです。4630万円のうち、ほとんどの9割以上を確保できたことになります。

■阿武町側の弁護士「なぜか満額払ってきた」
阿武町の代理人を務める中山修身弁護士は、次のように説明しました。

中山修身弁護士
「職員が東京に出張しまして、3つの会社の事務所に行って、差し押さえと即時に払えという取り立て命令の紙を置いて帰りました」

阿武町は、お金が振り込まれた決済代行会社に、「差し押さえ」と「取り立て命令」の紙を置いて帰ったことがきっかけだとしています。この3社に移されていたお金は田口容疑者の財産であるとみなし、差し押さえ命令が出されていました。

阿武町側の中山弁護士は、会社に取り立て命令を出したところ、「なぜか満額払ってきた。返す金はないと言えば、差し押さえ調書に『0円です』と回答してきてもおかしくない状況だった」と述べました。

■「全額弁償された場合、執行猶予が付く可能性が高い」指摘も
元大阪地検・検事の亀井正貴弁護士は、なぜ決済代行会社が満額支払ったかについては「わからない」と述べました。

田口容疑者は「カジノで全額使った」と話していましたが、口座に残っていたか、残っていないけど会社が肩代わりしたのかはわかっていません。

決済代行業者が満額支払う義務はないはずですが、亀井弁護士は「他の案件で捜査されることや、町とこれ以上やりとりするのを嫌がった可能性もあるのでは」と指摘しています。

■量刑への影響は
田口容疑者の量刑への影響について、亀井弁護士は「ほとんどの額を阿武町が確保できている。それが第三者の支払いであっても、町の損害が少なくなるので、結果的に田口容疑者の量刑は軽くなる可能性がある」、今後、全額弁償された場合は、「執行猶予が付く可能性が高い」と話しています。

     ◇

阿武町の花田町長は「この一連の事件の発端は、町のミスであることは間違いない」と謝罪し、「二度とこのようなことがないように努めていく」と話しました。今後も、全額回収に向けて、粘り強く努力していくということです。
(2022年5月24日放送「news every.」より)

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